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2025年05月30日

とりあえず、ぼんぼん鮫

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ぼんぼん鮫(ぼんぼんざめ)

主な出身地:神奈川

神奈川県真鶴町に伝わる。沖からぼんぼんという鐘を打っているような音がするというもので、鮫たちが鳴らしているのだとされる。
むかしここには子鮫をまもって漁船を荒らす夫婦の鮫がいたが、梵鐘を運んでいる船を襲撃したとき、逃げるために船頭たちが海に落とした梵鐘の中にとじこめられてしまった。この鐘の音は、子鮫たちがしっぽで梵鐘を粉砕しようとしている音なのだという。
[参考文献]永井路子・萩坂昇・森比佐志『神奈川県の伝説』

(日本怪異妖怪事典 関東(笠間書院)より引用)
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2025年05月29日

とりあえず、ぼなり石

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ぼなり石(ぼなりいし)

主な出身地:福島

福島県石川郡古殿町に伝わる怪石。「ぼなる」とは大声を上げること。
竹貫城の館内にあった大石で、城主・竹貫三河守の計らいによって撤去を免れていた。竹貫城が責められ、敵勢が一斉に鬨の声を上げたとき、館内からも大きな鬨の声が上がり、敵は浮足立って敗走した。竹貫方の鬨の声は大石が発したものだったという。(岩崎敏夫『磐城岩代の伝説』)

(日本怪異妖怪事典 東北(笠間書院)より引用)
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2025年05月28日

とりあえず、ワルシヤ

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ワルシヤ(わるしや)

主な出身地:樺太

サハ(ヤクート)に伝わる妖怪。足が一本、胸の真ん中から腕が一本、目が額の真ん中にひとつ、鼻の穴もひとつ、舌は頭を九回まわり、陰茎も九曲がりという姿の化け物とされる。一本足ながら足は非常に速く、言語を話し、武器として刀を使う。しかしサハの若者であるガルパーネと戦い、殺されたという。
山本祐弘著『北方自然民族民話集成』にある。

(日本怪異妖怪事典 北海道(笠間書院)より引用)
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2025年05月27日

とりあえず、人食いなば

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人食いなば(ひとくいなば)

主な出身地:長崎

長崎県壱岐島の昔話に登場する人食い茸。
山中の宮で人がいなくなるため、何者かがいて人を食べているのではないかと噂になった。この何者かを退治しようと一人行き、二人目も向かったが帰ってこなかった。三番目に子供が行き、夜になると眠気がさした。その際、足を引っ張る者がいるので、灯りをつけて床下を確認すると、足を引っ張っていたのは茸で、茸の付近には人の骨が散らばっていた。子どもは急いで家に帰り、味噌汁を拵えてもらうと、宮の床下に持っていき、茸に味噌汁をかけた。すると茸は次第に縮まっていき、ついには消えてなくなったという。(民俗学研究所『綜合日本民俗語彙』)

(日本怪異妖怪事典 九州・沖縄(笠間書院)より引用)

「なば」とは茸のことである。
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2025年05月26日

とりあえず、茶瓶転がし

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茶瓶転がし(ちゃびんころがし)

主な出身地:山口

山口県下松市末武に伝わる。
昔、平田川沿いの花岡道には悪い狐が棲んでいた。深夜、祝い事のあった家から帰る途中にここを通ると、急に酔いが回って水が飲みたくなる。すると目の前に茶瓶が出てくるが、やれありがたやと手を伸ばすと、茶瓶はころころと転がっていく。思わず土産物を置いて追いかけると茶瓶はフッと消え、引き返すと土産のごちそうは狐に食われてしまっているという。(『下松市の民話・伝説と民謡』)

(日本怪異妖怪事典 中国(笠間書院)より引用)
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2025年05月25日

とりあえず、ガキボトケ

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ガキボトケ(がきぼとけ)

主な出身地:徳島

徳島県美馬郡祖谷山村(現・三好市)に伝わる。
祀り手のいない仏(無縁仏のことか)や飢え死にした仏が峠などで人に憑くことがある。これを「ダリに憑かれる」と言う所もある。憑かれると体がひだるくなって冷や汗が出る。この時「ガキボトケサン、おあがりなされ」と言ってご飯を道端に備えて柴などを折って手向け、自身も何か食べるとよいのだという。
[参考文献]真谷重夫「祖谷山村の民俗(三)(『ひだびと』九巻一号)

(日本怪異妖怪事典 四国(笠間書院)より引用)
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2025年05月24日

とりあえず、三つ目の兎

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三つ目の兎(みつめのうさぎ)

主な出身地:長野

長野県南佐久郡牧村宮下(現・南佐久郡小海町)に伝わる。
宮下の七不思議の一つ。諏訪神社の北にある「高峰さんの森」には、三つ目の兎がいるが、滅多に見た者はいない。村人が集まったときに「三つ目の兎なんて、そんな馬鹿なものはない」と話をしていたら、ひょっこりと姿を見せることがある。これが出ると村に何か変わったことが起こるというので、村人は三つ目の兎の話を嫌っているという。
宮下の七不思議は他に「杜のすおうの木」「両葉のすすき」「日向のそらの寒桜」「なめ岩の白酒」「お経塚の夜の雨」「高根林のほらが石」がある。
[参考文献]南佐久教育会『南佐久郡口碑伝説集』

(日本怪異妖怪事典 中部(笠間書院)より引用)
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2025年05月23日

とりあえず、カモノマクレ

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カモノマクレ(かものまくれ)

主な出身地:奈良

奈良県天理市嘉幡町のある風呂屋では、幽霊や人魂、砂かけ坊主が出た。その風呂屋に向かう夜道、カモノマクレが出る。急に大空が暗くなって急降下するような鋭い音が体を包まんばかりに襲ってきては、そのまま遠のいてしまう現象を指す。鳥の大群がこのような行動をするといい、マクレは転がるの意なのでカモの大群が大空から落ちてくることなのだろう。保仙純剛「民俗聴書 ばば里の記」(『民間伝承』31巻1号通巻276号)にある。
(日本怪異妖怪事典 近畿(笠間書院)より引用)
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2025年05月22日

とりあえず、鯰の化物

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鯰の化物(なまずのばけもの)

主な出身地:栃木

ある冬の晩、酒屋に「こんばんは、酒を一升おこれ」と見慣れない子供がやって来て、五合徳利を差し出すので、ふしぎに思いながら酒樽から一升桝に受けた酒を注いでやると、確かに一生に入った。その子が代金を払いながら、脇に積んであった餅をじっと見ていたので、店の者が「食べるかい」と分けてやると、あっという間にひと臼分の餅を食べてしまい、どこかへ帰って行った。翌日、若い衆が川で捕った鯰のなかにとても大きなものがおり、さばいてみたら中からひと臼分はある餅が出てきたので、酒を買いに来た小僧は鯰の化物だったと知れたという。
栃木県東泉村(現・矢板市)に伝わる。餅は「川ぴたり餅」(12月1日に川に流したりするもので、河童よけともされる)のために準備していたものと語られている。
[参考文献]矢板市文化財愛護協会『やいたの昔の話』
(日本怪異妖怪事典 関東(笠間書院)より引用)
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2025年05月21日

とりあえず、頭無の大蛇

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頭無の大蛇(かしらなしのだいじゃ)

主な出身地:秋田

秋田県能代市に伝わる。能代市浅内頭無に伝わる怪蛇。頭無の地名の由来として語られる。昔、春先に村人たちが田植えに精を出していたが、一人が田の近くの泉に大蛇がいるのを見つけて逃げ出し、続いて他の者も逃げだした。通りがかった見回りの侍が、「退治してくれよう!」と太刀を抜き放つと、大蛇の頭を切り飛ばした。しかし、不思議なことに蛇の傷口が盛り上がると新たな頭が現れた。「この化物め!」とまた切り飛ばしたが、再び頭が映えてくる。いくらやってもその繰り返しであるため、あきれた侍は「蛇よ、この地の名を頭無にするから観念しろ」と叫んで切り飛ばすと今度は二度と生えてこなかった。(『能代の昔ばなし』)

(日本怪異妖怪事典 東北(笠間書院)より引用)
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