参考文献はこちら

2023年10月21日

とりあえず、龍

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主な出身地:中国、日本全国

中国より遥か昔に渡来した竜は
妖怪というよりも神様というべきもので、
日本でも水神や海の神として祀られている。

雨乞いの儀式では、竜を怒らせたり、
竜の潜む淵の水を水源地へ撒いたりして雨を降らせようとする地方もある。

竜の姿は頭が駱駝、
角は鹿、
目は鬼、
耳は牛、
胴は蛇、
鱗は鯉、
爪は鷹、
掌は虎に似ており、
口髭があり、
喉の下には一枚だけ逆さまになった鱗
――逆鱗を持ち、
声は銅鑼を打ったような音に似ているのだという。

鯉が滝を登りきり、
竜になったという伝説から、
登竜門という諺が出来たという。

中国の竜に日本に伝わる蛇神信仰と水神信仰が結びつき、
それが日本の龍となったという。
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2023年09月11日

とりあえず、鵺

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主な出身地:京都・大阪・兵庫他

仁平の頃、天皇が毎晩のように怯えるが、
高僧の秘法を持ってしても治らない。

毎晩のように御殿の上に現れる黒雲が原因だとわかり、
源三位頼政が黒雲の中に怪物を見つけ矢を射って打ち落としたという。

それは頭が猿で体が狸、手足が虎で尻尾が蛇、
鳴き声は鵺
――夜中や夜明けに寂しげな声で鳴くトラツグミという鳥のこと――
の怪物であった。

本来の怪物の名前は不明であるが、鵺が名前として定着している。

死体はうつぼ舟に乗せられ川へ流され、
流れ着いた先という大阪府大阪市都島区や兵庫県芦屋市で埋葬され、
祟りを恐れ鵺塚を造ったとされる。

頭が猫、体が鶏の姿で、
目は大きく不気味に光る鵺も現れたことがあるといわれている。

掴み所のない怪人物を鵺的人物ともいう。
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2023年08月31日

とりあえず、芝右衛門狸

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芝右衛門狸

主な出身地:兵庫県、徳島県

兵庫県や徳島県に伝わる狸で
『桃山人夜話 絵本百物語』
の記述は次の通りである。

芝右衛門という百姓がおり、
よくそこへ古狸が残飯を貰いに来ており、
哀れに思った芝右衛門はわざわざ飯を狸のために残してやっていた。

あくる日、
芝右衛門が狸に人に化けて来てみろと言ったところ、
五十過ぎの老人に化けてきた。

狸は古代に詳しく、
話を聞いてた芝右衛門は物知りになり、
皆にもてはやされるようになった。

その頃、難波
――現在の大阪から「竹田出雲」という芝居が十日ばかり興行に来ており、
老人に化けた狸も芝居を見物しに行ったが、
帰り道に運悪く犬に噛まれ死んでしまった。

死後半月たっても人間のままだったが、
二十四五日して遂に古狸の姿に戻ったという。
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2023年08月14日

とりあえず、夜行さん

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夜行さん

主な出身地:徳島、高知、他全国各地

髭の生えた一つ目の鬼であるといわれており、
徳島県では節分の夜に食事のおかずのことを話していると、
毛の生えた手を伸ばしてくるという。

正月二月の子の日、
三月四月の午の日、
五月六月の巳の日、
七月八月の戌の日、
九月十月の未の日、
十一月十二月の辰の日は、
百鬼夜行日とされ妖怪が活動する日とされ、
その夜、夜行さんは首無し馬に乗って徘徊するといわれている。

出会うと投げられ蹴り殺されてしまうが、
草履を頭に載せ地に伏せれば助かるとされる。

高知県高岡郡越知町野老山辺りでは
「ヤギョー」
と呼ばれ、
姿は見えないが夜の山道を錫杖を鳴らして通るといわれている。

首無し馬の方が全国各地に伝わっており、
徳島県吉野川下流から香川県東部では首無し馬を夜行さんと呼んでいる。
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2023年07月31日

とりあえず、二口女

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二口女

主な出身地:全国各地

下総にとある継母がいたが、
先妻の子に飯をやらず自分の子だけに飯をやっていた。

ついに先妻の子は病気になり、
そのまま餓死してしまったがその四十九日、
薪割の仕事をしている男の鉞が継母の後頭部にぶつかり、
ぱっくりと口のように割れてしまった。

その傷がそのまま口になり絶えず痛むが、
食べ物を入れると痛みが治まったが、
後頭部の口は継母に謝れと言い続けたという。

また先妻の子を恨みながら餓死させ殺してしまうと、
二口女の子供が生まれてくるという。

髪の毛を蛇のように動かし、
器用に後頭部の口に食べ物を運ぶ。

後頭部の口はあることないことを言って苦しめるが、
やはり食べ物をやると静まるという。
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2023年07月11日

とりあえず、千千古

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千千古

主な出身地:不明

『太平百物語』に記されている怪異。

ある城下の大手前門の前に、
鞠のように丸い化け物「千千古」が現れ、
ふわふわと浮きながら上下左右に揺れ、
揺れるたびに奇妙な音を鳴らすということがあり、
人々の間で評判となった。

この噂を聞いた小河多助という若侍が正体を暴いてやろうと、
門の前で待ち伏せをした。

すると噂通りに「千千古」が現れたので、
刀で素早く斬ると手ごたえがあり「千千古」が地面に落ちたので、
飛び掛って捕まえ助けを呼び正体を見ると、
それは鈴が中に入っている正真正銘普通の鞠だったという。

何者かが悪戯で鞠に鈴を入れ、
縄を張って鞠を浮かせて、
驚かしていただけだとわかり、皆で大笑いしたという。
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2023年06月19日

とりあえず、雨女

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雨女

主な出身地:不明

鳥山石燕著『今昔百鬼拾遺』に描かれている妖怪で
「もろこし巫山の神女は、朝には雲となり、夕には雨となるとかや。雨女もかヽる類のものなりや」
と記されている。

これは男女の契りを表した
「朝雲暮雨」という故事成語であり、
吉原遊郭を風刺した石燕の創作であるともいわれている。

現在では雨女は雨を呼ぶ女の妖怪として伝えられており、
それが転じて出かけたり用事があるときによく雨に降られる人物を
「雨女」
「雨男」
と呼び、その対義語として
「晴れ女」
「晴れ男」
とも使われている。
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2023年06月12日

とりあえず、高女

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高女

主な出身地:不明

遊女屋の二階を覗いて歩く妖怪。

嫉妬深いが男に相手にもされない女が、
この妖怪になるといわれている。

鬼女の一種であるといわれ、
体の長さを自由に伸ばすことができるという。

鳥山石燕著『図画百鬼夜行』に
「高女(たかじょ)」が載っているが説明はなく、
実際にはどのような妖怪なのかはわからない。

画から判断し、
上記のような妖怪であると考えられたのだろうといわれている。
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2023年06月05日

とりあえず、浪小僧

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浪小僧

主な出身地:静岡県

静岡県浜名郡伊佐見村曳馬野(ひくまの)
――現在の浜松市に伝わる妖怪で、
ある少年が田仕事の後川で足を洗っていると草陰から声が聞こえた。

そこには親指ほどの大きさの浪小僧がおり、
大雨で陸に上がったが戻れなくなったので助けて欲しいと頼むので、
少年は海に戻してやった。

その後日照りが続き少年の田も枯れ、
海で途方に暮れていると浪小僧が現れ、
父が雨乞いの名人なので先のお礼に雨を降らしてもらうと言った。

雨が降るときは東南で浪を鳴らし、
上がるときは西南で浪を鳴らすと言い、
間もなく雨が降り、少年と村は助かったという。

似たような話は静岡各地にあるようで、小僧であったり、
仕事を手伝ってくれる藁人形であったりするため、
そのことから浪小僧は河童の仲間ともいわれている。
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2023年05月29日

とりあえず、雷獣

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雷獣

主な出身地:不明

雷が落ちたところに出るという妖怪で、
猫のような姿をしていたり、
後ろ足に水かきがついているものがいたり、
中には狼のような姿で前足が二本で後ろ足が四本あるものもいるらしい。

栃木県にいた雷獣は山にいて、
夕立雲が出ると急に元気になり空を走り回るという。

また、
雷が落ちると同時に雲に火の柱のようなものが登ったのを見た者が、
そこに雷獣がいるのを発見したという。

その姿は猫より大きく、
腹は白かったという。

雷獣の好物はトウモロコシだという。

雷が落ちると狂人が出るらしいが、
その狂人にトウモロコシを食べさせると正気に戻るといわれている。
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2023年05月21日

とりあえず、野寺坊

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野寺坊

主な出身地:不明。廃寺や山奥。

鳥山石燕著『画図百鬼夜行』にある妖怪。

蔦だらけになった鐘の前で、
獣のような顔をしたぼろを着た僧侶がうらめしそうにしている姿で描かれている。

石燕の説明はなく、どのような妖怪かは不明。

水木しげる著『図説日本妖怪大全』では体験談が語られており、
夕暮れに山を行くと近くに寺も人もないのに鐘が鳴る音を聞き、
おばあさんがそれを野寺坊と教えてくれたとある。

そのことからか、
夕暮れに廃寺で鐘の音を鳴らす妖怪として紹介されている。
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2023年05月12日

とりあえず、藤原千方の四鬼(金鬼・風鬼・水鬼・隠形鬼・火鬼・土鬼)

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藤原千方の四鬼(金鬼・風鬼・水鬼・隠形鬼・火鬼・土鬼)

主な出身地:三重県の伊賀・伊勢地方

天智天皇の時代に、
伊賀・伊勢地方で勢力を持っていたという豪族
「藤原千方」が使役していたという
「金鬼」
「風鬼」
「水鬼」
「隠形鬼」
の四柱の鬼。

「書画五十三駅」では
「風鬼」が「火鬼」に入れ替わって描かれている書があるように、
いずれかの鬼が「土鬼」「火鬼」となっている伝承もある。

「金鬼」は鋼の肉体で剣や矢を弾き、
「風鬼」は全てを吹き飛ばす風を起こし、
「水鬼」は水を操り、洪水を起こして全てを流し、
「隠形鬼」は姿や気配を消して奇襲をする力を持っていたという。

「謡曲 現在千方」では
「金鬼」が「火鬼」となっており、
火の雨を降らせるとある。

伊賀になる忍者資料館には四鬼の面があるそうで、
それによれば「土鬼」は地中を自由に移動できたという。

四鬼を使役し、朝廷に反旗を翻す「藤原千方」だったが、
紀朝雄の詩
「草も木も我大君の国なればいづくか鬼の栖なるべき(意訳:草も木も大君が治めるこの国に鬼の住む場所はない)」
を聞いた四鬼が逃げ出し、まもなく朝廷に討たれたといわれている。

彼らは「忍者」の源流であったともいわれる。

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2023年05月01日

とりあえず、雨降り小僧

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雨降り小僧

主な出身地:不明

柄のない傘を頭にかぶった小僧で、
提灯を手に持ち、雨師に仕える。

雨師とは中国でいう雨の神様のことである。

そのためか雨を降らすことが出来るようで、
狐に嫁入りのために雨を降らしてほしいと頼まれたときに、
手に持つ提灯を振ったところにわか雨が降り出し、
無事狐の嫁入りができたという。

また、雨降り小僧に遭遇した男の話もある。

ある男が雨が降り出したので急いでいたところ、
雨降り小僧がいるのに気がついた。

これはいいと傘を強引に奪い取り、
頭にかぶって走って家に帰った。

助かったと思い傘を取ろうとしたが、
それは頭にくっつき取ることが出来なかったという。

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2023年04月25日

とりあえず、お菊虫

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お菊虫

主な出身地:兵庫・奈良他

お菊という女性が想いを残して
死んだ後に虫となったといわれる妖虫で、
有名なところでは番町皿屋敷のお菊だろう。

十枚ある大事な皿を一枚割ってしまい、
身を投げたお菊が幽霊となって毎夜皿を数え続けるという話だが、
その井戸から妖虫が出てきたという。

人々はお菊の怨念だと噂し恐怖した。

また大和北葛城郡に伝わるお菊虫の話もある。

貧しい家に育ったお菊が、
米倉に侵入し米を盗もうとしたが見つかり逃走するが、
隠れた樫の木にて見つかり、突き殺された。

その後、その樫の木に櫛の形をした蛍のように光る妖虫が沸き、
その村より上流には現れなかったことからお菊の怨念が虫に憑いたのだと皆噂したという。
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2023年04月07日

とりあえず、人魚

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人魚


主な出身地:日本全国
日本各地の海に伝わる妖怪で、
猿のように飛び出た口に魚のように細かい歯、
金色に光る鱗を持ち、声が雲雀笛のようで、
山河にもいるとされる。

言葉は話さず、
肉は味がよく食べると長生き、
もしくは不老不死になるともいわれている。

上半身が人間、下半身が魚なものや人面の魚、
人間とも魚とも区別できないものなどもいる。

古くは人魚が現れるときは吉兆とされていたが、
次第に凶兆とされるようになったという。

そのため、
人魚が捕れる前には暴風の前が多いとされ、
もし捕れても殺さず海に帰さなければ、
良くないことが起きるとされる。

人魚を海に帰すと、
お礼にと近々大津波が来るので避難したほうが良いと教えてくれ、
助かったという伝説もある。
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2023年03月28日

とりあえず、アカマタ

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アカマタ

主な出身地:沖縄

アカマタは、背中に赤と黒の横縞を持つ、沖縄に生息する蛇。

美男に化けて、女性を惑わし、時には身籠らすこともあるという。

身籠らせられた女性は、
四月初めの午の日に、
ニラの煮物を食べると蛇の子が流れるともいわれる。

ある男がガジュマルの大木の下で挙動不審な女性を見つけ、
話を聞くと、そこで男と待ち合わせをしているという。

足元にはアカマタがおり、尻尾で文字を書いていたので、
女性をそこから離すために自身の家へ連れて行き、
戻ってアカマタの書いた文字を消した。

すると、女性は正気を取り戻して、
何故自分が知らない人の家にいるのか、
不思議がったという。

沖縄の来訪神に
「アカマタ・クロマタ・シロマタ」
がいるが、
こちらとは特に関係はないという。

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2023年03月14日

とりあえず、屋島の禿狸

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屋島の禿狸

主な出身地:香川

香川県高松市屋島に伝わる化け狸で
「太三郎狸(たさぶろうたぬき)」とも呼ばれる。

現在は屋島寺に家庭円満、縁結び、
水商売の神様「蓑山大明神」として祀られている。

平家の大将小松重盛が矢傷の夫婦狸を助けたところ、
恩義から平家の守護を誓ったといわれ、
その子孫が禿狸だといわれている。

平家滅亡後は屋島へと戻り、
三百の眷属を従える四国狸の総大将となり、
幻術を使って源平合戦を眷属たちに見せたりしたといわれている。

ある長旅の帰りに猟師に撃たれ死亡したといわれ、
死後は徳島に移り棲んだが悪戯などはせず、
若い髪結いの女性に憑いて、
源平合戦のことを詳しく語ったり、吉凶を占ったという。

女性から離れるときは「どこまで参ります」
再び憑くとき「帰って参りました」と言ったという。
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2023年03月06日

とりあえず、死神

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死神

主な出身地:全国各地

死を司る神様としての名の他に、
人を死に導く霊だともいわれている。

竹原春泉著『絵本百物語―桃山人夜話―』には、
やせ細ったみすぼらしい姿の男性が、
両手で手招きしているような姿で描かれており
「死神の一度見いれる時は必ず横死の難あり。
 自害し首くゝりなどするもみな此ものゝさそひてなすことなり。」
と書かれている。

悪念を持って死した者が「死神」となり、
死に誘うといわれており、
人が亡くなった時に、
同じところで同じように人が亡くなるのは、
この死神の仕業とある。
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2023年02月11日

とりあえず、通り物 もしくは 通り悪魔 通り魔

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通り物

「通り悪魔」「通り魔」とも呼ばれ
『世事百談』や『思出草紙』などの随筆集に見られる妖怪で、
人に憑いて乱心させたりするという。

東京四谷で火事により焼きだされて仮住まいをしていたある女房が、
夕暮れに庭先で見たものは杖を付いた老人で、
ある武士が庭の手水鉢の辺りで見たのは、
三尺ばかりの炎と煙の向こうから現れた白襦袢で槍を持つ武士の姿である。

また夕方に剃刀を研いでいたある武士が見たものは、
三十数騎もの甲冑を着て槍や薙刀を持った武士の集団であった。

どれも目を閉じたり平伏したりして心を静め、
再び見ると消えているのだが、
付近に住んでいる者が乱心したという話を聞くというものである。

通り物に狼狽してしまうと、
必ず乱心してしまうというので、
心を落ち着かせる必要がある。
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2023年01月23日

とりあえず、日和坊

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日和坊

主な出身地:茨城

鳥山石燕著『今昔画図続百鬼』には
岩肌に坊主が浮かび上がっているような姿で
描かれている妖怪で、
とくに悪さはせず、
これが出ると天気がよくなるといわれている。

茨城県の山奥に現れるといわれ、
これが出ると天気がよくなることから、
日和坊の形をしたものを吊るして、
天気になるように願ったという。

後にこれがテルテル坊主になったといわれており、
雨乞いの時には黒い坊主頭にして吊るしたともいわれている。

中国の日照りの神である魃が、
日本に伝わり日和坊になったともいわれている。
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