
赤ふんどし(あかふんどし)
主な出身地:茨城
『土浦の石仏』にある怪異。
茨城県笠師町の外れにあるという稲荷神社「正一位亀城稲荷大明神」は土地の人からは「赤ふんどし稲荷」と呼ばれ親しまれているという。
この「赤ふんどし」の名前にはいくつか伝説が残されている。
社の前を旅人が通ると、赤い褌を付けたきれいな女性が現れて「相撲を取ろう」と誘ってきたという。相撲を取ったらどうなるのかの記載はない。
また、土浦の殿様が境内の木を伐採しに来たところ、赤い褌を付けた力士が現れて「土浦が大火なるぞ」と叫び、たしかに東南の空が真っ赤に染まっているので、急いで戻ったが何事もなかったということがあった。この力士こそ稲荷の化神であるとあがめたため「赤ふんどし稲荷」と呼ばれるようになったという。
隣村の農夫が村の人の警告も聞かず境内で薪を取ったところ、次の日にその農夫の家が全焼してしまったとも云われている。
千葉県佐倉市に「赤褌狐(あかふんぎつね)」という赤い褌を付けた狐が相撲を挑んでくるという話があるが、関係はわからない。
もしかしたら、本体は赤い褌の部分で、付けたものを操っているのかもしれない。
[参考文献]「土浦の石仏」編集員会 編『土浦の石仏』