芝右衛門狸
主な出身地:兵庫県、徳島県
兵庫県や徳島県に伝わる狸で
『桃山人夜話 絵本百物語』
の記述は次の通りである。
芝右衛門という百姓がおり、
よくそこへ古狸が残飯を貰いに来ており、
哀れに思った芝右衛門はわざわざ飯を狸のために残してやっていた。
あくる日、
芝右衛門が狸に人に化けて来てみろと言ったところ、
五十過ぎの老人に化けてきた。
狸は古代に詳しく、
話を聞いてた芝右衛門は物知りになり、
皆にもてはやされるようになった。
その頃、難波
――現在の大阪から「竹田出雲」という芝居が十日ばかり興行に来ており、
老人に化けた狸も芝居を見物しに行ったが、
帰り道に運悪く犬に噛まれ死んでしまった。
死後半月たっても人間のままだったが、
二十四五日して遂に古狸の姿に戻ったという。