
山嵐
主な出身地:不明
松井文庫蔵『百鬼夜行絵巻』には
平たい身体をした、針のような毛を持つ化け物が描かれている。
ここでの「山嵐」は、
動物の「ヤマアラシ」そのものを妖怪として描いたといわれている。
『和漢三才図会』によれば群れをなす猪のような動物で、
頭から背にかけて棘のような毛を持ち、
怒るとそれを動かし矢のように射るという。
奈良県では山中で木を伐る音をさせるという。
和歌山県有田郡や広島県山県郡では
「シイ」という妖怪を「やまあらし」とも呼ぶという。
「シイ」は牛が恐れる妖怪であり、
牛を前進させるときに掛ける声「シイシイ」は、
後ろにシイがいるという意味だといわれる。
山口県大津郡
――現在の長門市では五月五日は牛を使うことを禁じており、
使うと「シイ」が憑いて牛を食い殺すといわれている。