
お歯黒べったり
主な出身地:不明
『桃山人夜話 絵本百物語』に紹介されている妖怪で、
のっぺりと目も鼻もない顔に大きな口だけがあり、
口の中はお歯黒で真っ黒である。
昔は嫁入りの際に歯を黒くする鉄漿(かね)という液体で染めており、
その真っ黒な口を開いて驚かす、のっぺらぼうの一種だといわれている。
頭に角隠しをかぶり、
結婚衣裳のような姿で描かれていることから、
結婚前に死んだ女の亡霊だともいわれているが、
角隠しは浄土真宗門徒の女性が寺参りの際にかぶっていたということもあったという。
お歯黒べったりの髪型が総角(あげまき)であることから、
国書刊行会の『桃山人夜話 絵本百物語』
では紫式部著『源氏物語』の巻の一つ「総角」が関係していると説いている。