精霊田(しょうらいだ)
岐阜県と長野県を跨る乗鞍岳(のりくらたけ)の
山頂に千町ヶ原という場所があり、
そこに沼があり、そこを「精霊田」と呼んだ。
美濃尾張の亡者たちが富山県の立山地獄へ向かう途中、
ここで水を飲むといわれている。
山案内人の上牧太郎が、
ある夜何十人もの男女が争って水を飲もうとしているのを目撃した。
何事かと声をかけてみると、
その中の一人が驚き振り向くと、
額に白い三角頭巾に伸び放題の髪の毛、
両目は真っ赤に燃え上がっていたという。
上牧太郎は驚愕し一心に念仏を唱え、
我に返ると、亡者たちは消え去っていたという。
岐阜県に伝わる
「がたがた橋」
も亡者たちが立山地獄へ向かう道筋にあたる。