
角盥漱(つのはんぞう)
鳥山石燕著『画図百器徒然袋』に描かれる
角盥漱の付喪神で
「なにを種とてうき草のうかみやらぬもやらぬ
小野の小町がそうしあらいの執心なるべしと、
夢心におもひぬ。」
と記されるている。
「角盥漱」もしくは「角盥(つのだらい)」とは、
口や手を洗ったり鉄漿をつけるときなどに使う洗面用具で、
左右に二本ずつ角が付いており、
そこを掴み持ち運んだという。
解説文は小野小町の『草子洗い』の逸話のことであり、
歌仙の一人大伴黒主(おおともくろぬし)が小野小町の歌を盗み聞き、
それを万葉集に自分の歌として書き足した。
小野小町がその歌の書かれた紙を角盥漱で洗うと、
書き足した文字は消え落ちたので、
大伴黒主は罪に問われたという話である。
その逸話から石燕が創作したといわれている。