波小僧(なみこぞう)
静岡県浜名郡伊佐見村曳馬野(ひくまの)
――現在の浜松市に伝わる妖怪で、
ある少年が田仕事の後
川で足を洗っていると草陰から声が聞こえた。
そこには親指ほどの大きさの浪小僧がおり、
大雨で陸に上がったが
戻れなくなったので助けて欲しいと頼むので、
少年は海に戻してやった。
その後日照りが続き少年の田も枯れ、
海で途方に暮れていると浪小僧が現れ、
父が雨乞いの名人なので先のお礼に雨を降らしてもらうと言った。
雨が降るときは東南で浪を鳴らし、
上がるときは西南で浪を鳴らすと言い、
間もなく雨が降り、
少年と村は助かったという。
似たような話は静岡各地にあるようで、
小僧であったり、
仕事を手伝ってくれる藁人形であったりするため、
そのことから浪小僧は河童の仲間ともいわれている。