文車妖妃(ふぐるまようひ)
文車とは本を運ぶ小車で、
内裏や寺にあり運搬に使っていたといわれており、
鳥山石燕著『画図百器徒然袋』に紹介されていることから、
その文車の付喪神が文車妖妃なのだろう。
また怪談集『諸国百物語』に
美しい稚児に恋文を送ったが、
稚児はそれを縁の下に捨ててしまい、
その恋文の執念が鬼となって
寺を訪れる人を襲ったという話がある。
この手紙の鬼も文車妖妃であるといわれている。
『画図百器徒然袋』には小鬼たちが溢れ出る葛篭から
手紙を引き出している鬼女のような姿で描かれている。
吉田兼好著『徒然草』に
「多くて見苦しからめは、文庫の文。塵塚の塵」
という一文があり、
そこから鳥山石燕が
文車妖妃、塵塚怪王を
創作したという説もある。