参考文献はこちら

2025年05月23日

とりあえず、カモノマクレ

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カモノマクレ(かものまくれ)

主な出身地:奈良

奈良県天理市嘉幡町のある風呂屋では、幽霊や人魂、砂かけ坊主が出た。その風呂屋に向かう夜道、カモノマクレが出る。急に大空が暗くなって急降下するような鋭い音が体を包まんばかりに襲ってきては、そのまま遠のいてしまう現象を指す。鳥の大群がこのような行動をするといい、マクレは転がるの意なのでカモの大群が大空から落ちてくることなのだろう。保仙純剛「民俗聴書 ばば里の記」(『民間伝承』31巻1号通巻276号)にある。
(日本怪異妖怪事典 近畿(笠間書院)より引用)
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2025年05月22日

とりあえず、鯰の化物

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鯰の化物(なまずのばけもの)

主な出身地:栃木

ある冬の晩、酒屋に「こんばんは、酒を一升おこれ」と見慣れない子供がやって来て、五合徳利を差し出すので、ふしぎに思いながら酒樽から一升桝に受けた酒を注いでやると、確かに一生に入った。その子が代金を払いながら、脇に積んであった餅をじっと見ていたので、店の者が「食べるかい」と分けてやると、あっという間にひと臼分の餅を食べてしまい、どこかへ帰って行った。翌日、若い衆が川で捕った鯰のなかにとても大きなものがおり、さばいてみたら中からひと臼分はある餅が出てきたので、酒を買いに来た小僧は鯰の化物だったと知れたという。
栃木県東泉村(現・矢板市)に伝わる。餅は「川ぴたり餅」(12月1日に川に流したりするもので、河童よけともされる)のために準備していたものと語られている。
[参考文献]矢板市文化財愛護協会『やいたの昔の話』
(日本怪異妖怪事典 関東(笠間書院)より引用)
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2025年05月21日

とりあえず、頭無の大蛇

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頭無の大蛇(かしらなしのだいじゃ)

主な出身地:秋田

秋田県能代市に伝わる。能代市浅内頭無に伝わる怪蛇。頭無の地名の由来として語られる。昔、春先に村人たちが田植えに精を出していたが、一人が田の近くの泉に大蛇がいるのを見つけて逃げ出し、続いて他の者も逃げだした。通りがかった見回りの侍が、「退治してくれよう!」と太刀を抜き放つと、大蛇の頭を切り飛ばした。しかし、不思議なことに蛇の傷口が盛り上がると新たな頭が現れた。「この化物め!」とまた切り飛ばしたが、再び頭が映えてくる。いくらやってもその繰り返しであるため、あきれた侍は「蛇よ、この地の名を頭無にするから観念しろ」と叫んで切り飛ばすと今度は二度と生えてこなかった。(『能代の昔ばなし』)

(日本怪異妖怪事典 東北(笠間書院)より引用)
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2025年05月20日

とりあえず、右足知りませんか

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右足知りませんか(みぎあししりませんか)

主な出身地:北海道

現代に伝わる怪異。ある少女がトラックにはねられ、右足の膝から下を失う怪我を負って死んだ。それからというもの、この少女の霊が夜になると寝ている人の元に現れ、「私の右足知りませんか」と訪ねて回るようになった。
もしこの少女の霊が現れた場合、布団から足を出していると「私の足だ……」と言って持っていこうとするため、質問をされた際に「これは、あなたの足じゃありませんよ」と答えると足を探しにどこかへ行ってしまうという。
久保孝夫著『女子校生が語る不思議な話』に載る。同署によれば、これは函館市の女子校生が報告した話だという。

(日本怪異妖怪事典 北海道(笠間書院)より引用)
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2025年05月19日

とりあえず、ガマク婆

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ガマク婆(がまくばばあ)

主な出身地:沖縄

沖縄県宮古島の牛方山姥譚。
ガマク婆は口が耳まで裂けた鬼婆。馬の背に積んだ大根と馬一頭を平らげ、大釜で寝るが、蓋に大石を載せられ、焼き殺されてしまう。(徳元英隆(文)・安室二三雄(絵)『おきなわの怪談』)

(日本怪異妖怪事典 九州・沖縄(笠間書院) より引用)
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2025年05月18日

とりあえず、狸自動車

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狸自動車(たぬきじどうしゃ)

主な出身地:大分

大分県臼杵市で言う偽自動車の類。
昭和の初め頃、夜道を自動車で進んでいると、向こうから自分の自動車と同じ自動車がやって来る。よく見ると、運転手まで自分と同じであり、こちらと同じ仕草をする。狸の仕業とわかった運転手は懲らしめてやろうと、狸の自動車と正面衝突させることにした。すると、ぶつかる寸前に自動車は消え、狸の大きな尻尾がライトに照らされて、道の横の川でドボンという大きな音がしたという。(臼杵妖怪共存地区管理委員会・臼杵ミワリークラブ(編)『亀城下異談』)

(日本怪異妖怪事典 九州・沖縄(笠間書院) より引用)
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2025年05月17日

とりあえず、人形峠の蜘蛛

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人形峠の蜘蛛(にんぎょうとうげのくも)

主な出身地:岡山と鳥取の境にある人形峠

鳥取県東伯郡三朝町木地山と岡山県苫田軍鏡野町上齋原の境にある人形峠に出たという蜘蛛の化物。
出現値は正確には現在の人形峠の西側にある人形仙(人形山)だが、かつてはこちらも人形峠と呼ばれることがあり、妖怪の名も「人形峠の蜘蛛」と称されるのが一般的。その内容は次のように語らえる。
ある時、人形峠の峠道で男の死体が見つかった。男は異様な糸で体を縛られ、喉笛を噛み切られていた。(中略)木地師の古老が男装の人形を囮にとして峠に置くことを提案した。(中略)鳥追い姿の女が現れて「私の代わりに三味線を弾いてくださいな」などと声をかけた。しかし相手が応答しないことに腹を立て、女は口から糸を吐いて人形を縛り、その喉笛にくらいついた。若者たちが弓矢で怪女を射止めたところ、その正体は土蜘蛛だと判明したという。(鷲見貞夫編『因伯昔ばなし100選』)
このように人形で事件を解決したため、峠は人形仙または人形峠と呼ばれるようになったと説明される。
(中略)
また人形峠に出たのは人を化かす狐で、人形遣いとの化け比べに負けて降参したとも伝わる。(太田忠久・水藤春夫『岡山の伝説』)
(日本怪異妖怪事典 中国(笠間書院) より引用)
人形峠に伝わる伝承は他にも「蜂王」「人形峠の化物」「人形峠の霊」などがある
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2025年05月16日

とりあえず、山蚯蚓

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山蚯蚓(やまみみず)

主な出身地:高知

『土佐化物絵本』上巻に絵とともに記されている。
 昔山田町(現・高知県香美市土佐山田町)の裏家に新五と三次という男がいた。二人は八月半ばに塩魚を担って豊永(現・長岡郡大豊町)へ商いに行き、その途中に杖立峠を通った。峠で休息していると、巨大な蚯蚓の姿の怪物が現れ、新五の頭を乗り越えようとした。新五は「キャッ」と叫んで怪物とともに谷を転げ落ちてしまい、しばらく気を失っていたが、幸いにも怪我はなかった。新五は三次に助けてもらって這い上がったが、塩魚は谷に落ちてしまった。二人は地元に帰ってこのことを語ったが、それを聞いていた老人が「それこそ、昔より人の恐れる山蚯蚓という怪物だ。これは人を見れば近付いて締め上げ、血を吸い取って殺してしまう」と話し、それを聞いていた二人は金玉が縮み上がるほど恐れたという。

(日本怪異妖怪事典 四国(笠間書院)より引用)
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2025年05月15日

とりあえず、しんのこ亀

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しんのこ亀(しんのこがめ)

主な出身地:愛知

いわゆる「河童」の類について、日本各地で様々な呼び方をされていることは比較的知られている。
 実はいわゆる「尻子玉」についても、似たような存在が様々に呼ばれている。愛知では「シンノコ」と呼ばれる例が少なくない。この「しんのこ亀」は、その「シンノコ」がそのまま妖怪名の一部に採用されており、ニュアンス的には「尻子玉亀」といったところだろうか。
 (中略)
 愛知では、河童的な怪の正体をスッポンとするところも多い。
(日本怪異妖怪事典 中部(笠間書院)より引用)
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2025年05月14日

とりあえず、カカシ

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カカシ

主な出身地:奈良

奈良県大川村に伝わる。昔、木が生い茂って昼でも薄暗い寂しい場所で人を驚かすカカシがいた。昼夜問わず驚かす。言い伝えによれば、ある夜急用ができて人が松明を持ってここを通るとカカシが出てきた。怖くなり持っていた松明をカカシの顔ににじり付けるとカカシは笑ったままだった。松明を投げ出して家まで逃げ帰ったが、カカシは笑ったまま追いかけてきた。以降、その場所は「火人平(かじんだいら)」と呼ばれるようになったという。『天川村ガイドブック』にある。
(日本怪異妖怪事典 近畿(笠間書院)より引用)
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2025年05月13日

とりあえず、夜泣桜

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夜泣桜(よなきざくら)

主な出身地:群馬

群馬県高崎市上滝町の慈眼寺に伝わる枝垂桜。「少将桜」とも。昔前橋城の殿様が見事であるとして一株を城に植え替えさせたところ、春になっても花はひとつも咲かず、夜な夜な「慈眼寺に帰りたい」と泣いたので、寺に戻されたという。
(日本怪異妖怪事典 関東(笠間書院)より引用)
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2025年05月12日

とりあえず、影の病

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影の病(かげのやまい)
主な出身地:東北地方
魂が遊離してもう一人の自分が現れる病。大陸伝来の離魂病は、日本では影の病、影の煩いとも呼ばれ、物語や演劇の素材にもなった。(『「腹の虫」の研究』)
(日本怪異妖怪事典 東北(笠間書院)より引用)
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2025年05月11日

とりあえず、オナンチサパ

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オナンチサパ(おなんちさぱ)

主な出身地:北海道

アイヌに伝わる怪異。「古い熊の頭」を意味する。石狩に住んでいたアイヌの家の祭壇に祀られていた古い熊の頭で、その家の男に「エイコモイレヤクン エアキライナー(行くのが遅いと弟が死ぬぞ)」と警告したという。
 この男の弟は石狩川の上流の裕福な家に婿入りしていたことから、男が弟の元まで連れて行ってほしいと頼むと、古い熊の頭は空中を飛んで彼を案内してくれた。しかし、無事に家に辿り着いたものの弟の姿はみあたらず、弟の舅を問い詰めると、舅は弟に毒を飲ませたと白状した。
 男は弟を見つけ、村の人々と手当てをしつつ、スルクカムイ(トリカブトの神)に祈ったことで何とか息を吹き返らせることができた。
 そのため、この家ではオナンチサパを守り神として大切に扱うようになったという。
 萱野茂著『炎の馬 アイヌ民話集』にある。同署によれば、沙流郡平取町で採取された話だという。

(日本怪異妖怪事典 北海道(笠間書院)より引用)
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2025年05月06日

とりあえず、ナベソコ

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ナベソコ

主な出身地:岡山

岡山県阿哲郡熊谷村
――現在の新見市に伝わる憑物
――というより家筋で
「ナベソコ狸」という狸を飼っているといわれている。

ナベソコ狸の姿を目撃した人によれば、
普通の狸とは違い、
鼬より少し大きい動物だったという。

ナベソコ狸を飼っていると金持ちになるといわれているため、
ナベソコは金持ちの家が多いといわれている。

正月には主人が裃を着て、
ナベソコ狸を迎えるといわれている。
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2025年05月02日

とりあえず、ウブ

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ウブ

主な出身地:新潟

新潟県佐渡市にある佐渡島では嬰児の死んだものや堕胎されたものが、
大きな蜘蛛の姿のウブという妖怪になるといわれている。

赤ん坊のような声で泣き、追いすがってきて人の命を奪うとされている。

避けるには、草履の片方を肩越しに投げて
「お前の母親はこれだ」
というと良いとされる。

草履の紐を通す輪の部分
――乳(ち)が母親の乳に通じるためだという。

またオボやノツゴなど似たような妖怪が草履をねだるのは、
自分一人では生まれた家に帰る道がわからないので、
履物の力を借りて帰ろうとしているためだともいわれている。
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