異獣
主な出身地:新潟
鈴木牧之著『北越雪譜(ほくえつせっぷ)』に語られる妖怪で、
越後
――現在の新潟県の山中にたびたび出たといわれている。
ある夏のこと、十日町の縮問屋が七里ほど離れたところにある
堀之内の問屋に白縮を届けることになった。
山中で昼飯の弁当を食べていると、根笹を掻き分けて猿に似た、
頭の毛は背中まで垂れ中ほどが白くなっている異獣が現れた。
襲ってはこず、弁当が欲しいような仕草をするので分けてやると、
喜んで食べた。
帰りも弁当をやるといってから出発しようとすると、
異獣は荷物を代わりに背負ってくれ、
難なく山道を下ることが出来た。
麓まで運んだ異獣は荷物を置き、
疾風のように去っていったという。