参考文献はこちら

2022年09月28日

とりあえず、影女

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影女

主な出身地:不明

男の一人暮らしの家に住み着くといわれる女の妖怪で、
その姿は影しか見えなかったり、
遠くに現れたりするので実体をつかむのは難しい。

影女が住み着いた家には化け物が集まるとも、
逆に化け物が住み着いた家に影女が現れるのだともいわれている。

鳥山石燕著『今昔百鬼拾遺』には
影女の紹介の文に罔両(もうりょう)の話と共に紹介されているが、
この罔両は影のそばにできる薄い影のことであると説明されている。

この罔両が影女の正体なのかもしれない。
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2022年09月26日

とりあえず、針女

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針女

主な出身地:愛媛

愛媛宇和島地方に現れる妖怪で別名を
「ヌレオナゴ」「笑い女子」という。

ざんばら髪の先に鉤がついており、
それを男に引っ掛けて連れ去ってしまう。

この鉤は大男でも身動きできないほどだという。

美しい容姿をしており、
笑いかけてくるのでおもわず笑い返してしまうと、
何処までも追いかけてくるという。

ある男が笑い返したことにより追いかけられたが、
家に逃げ込んだ際に、
障子戸ではなく板の大戸を閉めたことより難を逃れた。

夜が明け大戸を見てみると、
鉤のついた髪で付けたのだろう無数の傷跡が残っていたという。
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2022年09月25日

とりあえず、栄螺鬼

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栄螺鬼

主な出身地:和歌山、三重

万物は長い間生きていると霊力を身につけて
変化すると言われているが、
三十年生き延びたさざえがこのさざえ鬼になるといわれている。

その姿はさざえに手と足が生えたもので、
普段は海底で大人しくしているが、
月夜の晩などには海面に浮上し、
踊るという。

紀州の波切と呼ばれるところは昔海賊の本拠地があったそうだが、
そこの海賊が海で溺れている女を引き上げ、連れ帰った。

海賊達が女を求め、女は体を許したが、
ことごとく睾丸を抜き取られてしまったという。

その女はさざえ鬼の変化したものであり、
後に海賊は睾丸を返してもらうかわりに、
大量の黄金を支払ったという。
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2022年09月24日

とりあえず、否哉

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否哉

主な出身地:宮城、山陰地方

仙台の城下によく出たといわれる妖怪で、
中国の山陰地方にも出たという。

後ろから見ると美しい女性に見えるのだが、
その顔はいやらしい爺のものだという。

後姿を見た男が女だと思い声をかけるとその顔を見て驚く、
その様を眺めるのが好きなのだろう。

ある小僧が目の前を歩いている女を見ると、
それが自身の姉にそっくりなので、
声をかけると否哉だったという話があるが、
もしかしたら、
その体は自在に取り替える、
もしくはどのような女性の体にでも変化することが出来るのかもしれない。

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2022年09月21日

とりあえず、白蔵主

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白蔵主

主な出身地:山梨

甲斐
――現在の山梨県に伝わる狐の妖怪。

夢山の麓に弥作という猟師がおり、
罠で狐を獲り、皮を売って生活しており、
この山に棲む古狐は沢山の子をつくったが
全て獲られてしまっており、恨みを抱いていた。

あるとき弥作の伯父の、
宝塔寺の白蔵主に化けて殺生をやめるよう忠告し、
銭一貫目を渡して罠を持っていった。

銭を使い果たした弥作が再び銭を貰おうと宝塔寺へ向かい、
それを知った狐は先回りして白蔵主を食い殺して成りすまし、
弥作を追い返した。

それから五十年化けていたが、
あるとき倍見の牧で鹿狩見物をしていたときに犬に噛殺され、
白銀の毛を持つ古狐の正体を現したという。

それから、狐が化けた僧や狐のような行いをする僧を
「白蔵主」
と呼ぶようになったという。

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2022年09月19日

とりあえず、べとべとさん

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べとべとさん

主な出身地:奈良他全国

奈良県でよく遭遇するようだが、
全国的に現れるという怪異で、
夜道を歩いていると後ろから自分のものではない誰かの足音が聞こえてくる。

振り返っても誰もいないが、足音はどこまでもついてくる。

このとき道脇に寄り「べとべとさん先へお越し」と言うと足音は消えるという。

中には
「先に行くと暗くて歩けない」
と返してくるものもおり
「それなら提灯を貸してやる」
と答えると、
提灯を持って先に行き消える。

翌朝になると提灯は返されているという。
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2022年09月17日

とりあえず、天井舐め

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天井舐め


主な出身地:家の中
長い舌を伸ばして天井を嘗める妖怪で、

この妖怪が嘗めた後は黒い染みになるといわれている。

この妖怪を捕らえた者がいたらしく、
城の天井に出来た蜘蛛の巣を嘗め取らせたという。

鳥山石燕著『画図百器徒然袋』に
「天井の高は灯くらうして冬さむしと言へども、
 これ家さくの故にあらず。
 まつたく此怪のなすわざにて、
 ぞつとするなるべしと、夢のうちにおもひぬ」
とある。

灯の届かないのは家の作りに問題があるのではなく、
この妖怪が暗闇をつくっているからなのだということだ。

吉田兼好著『徒然草』第五十五段に
「天井の高きは、冬寒く、燈暗し」
とあり、この妖怪はここから採られている。

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2022年09月16日

とりあえず、煙々羅

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煙々羅

主な出身地:不明

煙々羅は妖怪の中でも珍しい煙の妖怪である。

特に現れたからといって悪さをするわけでもない。

空中に浮かぶ煙がいつまでも消えないのを見ては、
煙の中に煙々羅がいるのだと言っていたと
水木しげる著『図画日本妖怪大全』にある。

「羅」とは薄い織物のことであり、
煙が風によってたなびく様を、
羅が風にたなびくさまに見立て、
煙々羅という名前で呼ばれるようになったという。
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2022年09月13日

とりあえず、たんころりん

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たんころりん

主な出身地:宮城

長く柿の実を採らずに放っておくと、
その柿の木が赤い顔をした入道となって練り歩くという。

宮城県仙台に伝わる妖怪で、
夕暮れ時に袂に柿の実を溢れるほど持ち歩き、
ポロリポロリと落としながら歩くという。

不思議に思ってこの入道の後をつけたところ、
大きな柿の大木が五六本生えている屋敷の前でスーッと消えていったという。

また柿男というものになるという話もある。

とある屋敷に柿の木が生っているのを、
屋敷の下働きの女が見つけ、
食べたいと思っていたところ、
その夜赤い顔をした大男が現れた。

男は串で自分の尻の穴をほじり嘗めろといった。

気持ち悪かったが断るのも恐ろしいので、
言うとおりにしたところ、
甘い味がしたという。
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2022年09月12日

とりあえず、一反木綿

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一反木綿

主な出身地:鹿児島

ゲゲゲの鬼太郎では「鬼太郎どーん」
という鹿児島弁で有名な一反木綿はその方言通り、
鹿児島県に現れる妖怪である。

一反ほどの木綿のようなものが夜な夜な空を漂う。

見た目は恐ろしくないが、人を襲うこともあり、
空からすーっと降りてきて、人の首に巻きつき締め上げたり、
顔を覆って窒息させたりする。

ある侍がこの一反木綿に襲われた際に脇差で切りつけたところ、
刃に血しぶきがついていたという。

もしかしたら狸、狐や狢、もしくは鬼が人を油断させて襲おうと考え、
化けたものなのかもしれない。
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2022年09月11日

とりあえず、黒髪切

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黒髪切

主な出身地:東京、三重

天鵞絨(てんがじゅう)の化け物とも呼ばれる妖怪で、
その姿は天鵞絨のように真っ黒だという。

天鵞絨とはビロードのことである。

元結の際より髪の毛を気づかれないように切り落とすといい、
切り落とされた髪は、そのままの形で落ちているという。

黒髪切に遭遇したという女中の話がある。

ある屋敷に長年奉公している女中がいた。

夜中に厠に行こうとすると、
突然黒い何者かが現れ頭にあたり、
女中は気を失ってしまった。

物音に集まった人たちが女中を介抱し、
女中は気を取り戻したが、
髻が二間ほど離れたところ落ちており、
そこにビロードのような真っ黒な怪物が立っていたという。

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2022年09月03日

とりあえず、一本ダタラ

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一本ダタラ

主な出身地:和歌山、奈良

和歌山県や奈良県の山中に出るという一つ目で一本足の妖怪。

山の神の多くは世界共通で一つ目が多いため、
一本ダタラも山の神の一種だといわれている。

和歌山県と奈良県の境にある果無山では十二月二十日に山中に現れるといわれており、
「果ての二十日」と呼ばれる厄日であり、山に入らないようにしたという。

奈良県の伯母ヶ峰も同じく十二月二十日に出るといわれており、
こちらの姿は電信柱のような体に目鼻がついており、
宙返りをしながら雪に一本足の跡を残していくが人に害さないという。

だが旅人を襲うという猪笹王という鬼神を指すこともあり、
普段は封印されているが十二月二十日だけ解放されるために、
厄日とされたともいわれている。
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2022年09月02日

とりあえず、山精

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山精

主な出身地:中国大陸、不明

山小屋に住む樵や狩人が良く出会うという一本足の妖怪で、
山では貴重な塩を求めてくる。

家の中に手を差し込んだり、勝手に入ってきたりもするが、
塩をやると喜び帰り、後日、
お礼なのか戸口に沢蟹や山鳥などが置かれているという。

この山精は元々山の神だという。

山の神は屋までの行いにより、
人にとって良い神になったり悪い神になったりするので、
山で仕事をするものは山の神の怒りに触れないよう、
注意深く仕事をするのだという。

岩手の遠野では暮れの十二月、
山に入ってはいけないという日が決められており、
その日は山の神が木数えを行っており、
木に数え含まれてしまうためである。

山でよく見る絡まった二本の木は
木数えの終わりの目印なのだという。
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2022年09月01日

とりあえず、橋姫

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橋姫
主な出身地:京都

橋の守護神であり外敵の侵入を防ぐといわれているため、
古くから大きな橋に祀られているという。

嫉妬深い神でもあるために、
他の橋を褒めたり女の嫉妬をテーマにした詩を詠うと必ず恐ろしい目に遭うといわれている。

橋姫は橋の袂に男女二神を祀ったのが始まりであるとされている。

京都の宇治川に祀られた橋姫が有名である。

ある男が隣家の美しい女性と夫婦の約束をしたが、
男が他の女と契り隣家の女を忘れてしまった。

女は怒り狂い、貴船神社に参拝した後宇治川に七日七晩身を浸し鬼となり、
男のみならずその一族全てを呪い殺したという。

怒りを静めるために橋姫として祀ったといわれており、
今でも嫉妬深いといわれているため、婚礼の際は橋は通らず遠回りをするのだという。

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