
朱の盆
主な出身地:福島および岐阜あたり
奥州の諏訪の宮を訪れた若侍はこの怪物が出るという話を聞いていたので、
夕暮れ、こわごわと歩いていると先に同じような若侍が歩いている。
いい道連れが出来たと追いつき、共に行くことにしたが、会話の途中、
ここに怪物が出るという話をするとそれが、
顔一面朱を塗ったかのように真っ赤で、目の色は血の如く、
口は耳まで裂け、髪は針のように鋭く、一本の角を生やした姿に変わった。
若侍は恐怖で気を失ったが半時ほどしてから目を覚ましたときには
それはもう居らず、急いでに家に逃げ帰った。
若侍の様子がおかしいので女房が心配してくれたので、
先ほどの話をすると、女房もその朱の盆に変化し、
若侍は恐怖で死んでしまったという。