
ずんべら坊
主な出身地:青森
青森県弘前に興兵衛という喉自慢がいた。
夕方頃、隣村からの帰りに
「思い切れとて五合桝投げた。これは一生の別れ桝」
と歌いながら歩いていると、
近くで自分よりよい声で歌うものがいるので、
しばらく聞いた後「誰だ」と問うと、
耳元で「俺だ」と聞こえ、
散切り頭で目も鼻も口もない卵のようにぬっぺらとした顔のずんべら坊が現れた。
驚き隣村に逃げ帰り、知り合いにこのことを話すと
「こんな顔か」
と知り合いもずんべら坊になってしまったという。
男は気を失い、
そのまま死んでしまったともいわれている。
小泉八雲著『狢』や
「のっぺらぼう」や
「朱の盆」と同様の話であるが、
元は中国の『捜神記』にルーツがあるといわれている。