
お種さん(おたねさん)
鳥取県境港市に伝わる化け女狐。
境港駅脇の小道を
馬場崎長駅方面へ向かい、
その先の踏み切り付近に祠がある。
境港が松林だらけだった頃、
大きな松の根元に棲んでいたといわれ、
道行く人によく悪戯をしかけていたといわれるが、
善人は決して化かさず、
悪人だけを化かしていたという。
提灯からろうそくを抜き取ったり、
女に化けて池を風呂と称して入らせたりしたといわれている。
また、境港に凶事がありそうなときには松林から鳴き、
危険を知らせてくれるという。
鳴き声が聞こえた時、
人々は火の用心をしたり、
旅の出立を控えたりしたといわれている。
お種さんが棲んでいたという松林には、
握り飯がお供えされたというが、
悪人のは決して食べなかったという。