
野良息子(のらむすこ)
森島中良著『画本纂怪興(えほんさんがいきょう)』にある妖怪。
国書刊行会刊『森島中良集』から解説を引用する。
「昔息子あり。
親父の脚(すね)をかぢりたる報ひに依、
火炎(ぐわえん)の猛火にむせび、
半点ひとゑの大寒地獄に沈みしとなり。
所謂鬼子なるべし。
昼跡によなよな出るのら息子朝夕親のすねをかぢらん 正木飢長清」
左の二の腕に「纏」と刺青した巨大な男が草むらから現れ、
男の脛に齧り付いている姿で描かれている。
親の脛をかじっているばかりの息子がなるのだろうか。
江戸時代の火消の事を「ぐわえん」と呼んだことから、
「纏」の刺青があるのだろう。